「業務用エアコンが、なんだか冷えない」——そう感じたとき、原因のひとつとして考えられるのが、冷媒ガスの漏れ(ガス漏れ)です。エアコンは、内部を循環する冷媒ガスで空気を冷やしているので、このガスが漏れて足りなくなると、うまく冷えなくなります。
この記事では、業務用エアコンの施工を15年手がけてきた立場から、ガス漏れが起きると、どんな症状・サインが出るのかを解説します。専門知識がなくても気づける見分け方から、施工者が使っている判断の基準まで、現場の視点でお伝えします。「うちのエアコン、もしかして?」と思ったときの、参考にしてください。
サイン1:冷たい風が出ない(送風のような風)
一番わかりやすいサインが、これです。冷房を、低い温度に設定しているのに、冷たい風が出てこない。
確認の仕方は簡単です。設定温度を低くして運転し、吹き出し口に手を近づけてみてください。ガスが漏れて足りていないと、室温とさほど変わらない風しか出てきません。冷たく感じず、まるで「送風」運転をしているような、そんな感じの風です。
「しっかり冷房にしているのに、風が冷たくない」——これは、ガス漏れをはじめ、何らかの不具合が起きているサインです。専門的な知識がなくても、手をかざすだけで気づける、分かりやすい確認方法です。
施工者は「温度差」で判断している
参考までに、私たち施工者が、どう判断しているかをお伝えします。試運転のとき、エアコンの「吸い込み口」と「吹き出し口」の温度を測り、その差が10度以上あることを、冷房が正常に効いている一つの基準にしています(冷房の場合)。吸い込んだ空気より、吹き出す空気が、10度以上冷たくなっていれば、しっかり冷やせている、という見方です。
もしガスが漏れていると、この温度差が出ません。ただ、これはあくまで施工者が使う目安で、正確な測定には条件もあります。ご自分で厳密に測るというより、「プロは、こういう基準で効きを判断している」と知っておいていただければと思います。
サイン2:配管に霜や氷がつく
もうひとつ、目に見えるサインがあります。室外機のフレア付近(配管の接続部)など、配管に霜や氷がついている場合です。
これは、冷媒が足りないことで、本来とは違う場所が異常に冷えて、霜がついてしまう現象です。配管に霜がついていたら、ガスが不足している可能性がある——これは、現場でもよく言われるサインです。室外機を見て、配管に霜や氷がついていないか、確認してみてください。
サイン3:室外機から大きな音がする
ガス漏れは、音に表れることもあります。冷媒が不足すると、コンプレッサー(圧縮機)が、足りない中で無理に働こうとして、運転音が大きくなることがあります。「最近、室外機の音が急に大きくなった」という場合、ガス漏れによる不調が隠れていることがあります。
室外機の異音については、業務用エアコンの騒音・振動の原因と対策で詳しく解説しています。
ガスはどこから漏れるのか
参考までに、ガスがどこから漏れるのかにも触れておきます。私の経験上、漏れが多いのは、フレア(配管の接続部)と、分岐管の溶接部です。配管をつなぐこうした箇所が、加工の不備や経年で、漏れの原因になりやすいのです。
フレア加工の重要性については、業務用エアコン工事の「真空引き」と「フレア加工」とはで解説しています。ただ、漏れ箇所を特定するには、専門的な検査が必要です。どこから漏れているかは、業者に調べてもらうことになります。
ガス漏れを疑ったら、どうすればいい?
では、「冷えないな、ガス漏れかも」と思ったら、どうすればいいか。答えは、まず、空調業者に見てもらうことです。
ガス漏れは、ご自身で対処できるものではありません。冷媒の取り扱いには資格が必要ですし、漏れ箇所の特定には専門的な検査がいります。「ガスを補充すればいい」と思うかもしれませんが、漏れを直さずにガスだけ足しても、また漏れて、同じことの繰り返しになります。根本の漏れを止めなければ、意味がないのです。
業者に見てもらえば、どこから漏れているのかを確認したうえで、エアコンの状態を総合的に判断してくれます。具体的には、
- フレアの切り直しなど、部分的な補修で対応できるのか
- 配管の入れ替えが必要なのか
- 機器そのものが古く、更新(買い替え)したほうがいいのか
こうした判断を、機器の状態や年数も踏まえて、総合的にしてもらうのが確実です。ガス漏れは、その場しのぎではなく、原因からきちんと対処することが大切です。
放置すると、どうなるか
ガス漏れを放置すると、冷えないまま電気代だけがかさむうえに、コンプレッサーに負担がかかり、故障につながるおそれがあります。コンプレッサーはエアコンの心臓部で、ここが壊れると修理費も高額になります。「少し効きが悪いだけ」と放置せず、早めに対処するのが、結果的に費用を抑えることにつながります。
業務用エアコンの業者探しは【簡単・無料・厳選優良業者】のEMEAO!冷えない原因はガス漏れ以外にもあります。効かない・冷えないときの原因全般は業務用エアコンが効かない・冷えない原因と対処法、修理か買い替えかの判断は業務用エアコンが故障したら修理か買い替えかで解説しています。
まとめ
業務用エアコンのガス漏れのサインについて、整理します。
- 冷たい風が出ない:低温設定でも、吹き出し口の風が室温と変わらない(送風のよう)
- 配管に霜がつく:室外機のフレア付近など、配管の霜や氷はガス不足のサイン
- 室外機の音が大きい:コンプレッサーが無理に働き、異音が出ることも
- 漏れが多いのは、フレアと分岐管の溶接部
- 疑ったら、まず業者へ。ガスを足すだけでなく、漏れの原因から対処を
- 放置するとコンプレッサー故障につながるので、早めの対処を
「冷えないな」と感じたら、まず吹き出し口に手をかざし、室外機の配管に霜がないか、見てみてください。ガス漏れのサインに気づいたら、早めに専門業者に相談することが、大きな故障を防ぎ、費用を抑えることにつながります。
