エアコン取り付けに使う工具・道具一覧|施工者が選び方も解説

エアコンの取り付け工事には、専用の工具・道具が数多く必要です。これから工事の仕事を始める方、独立を考えている方にとって、「まず何を揃えればいいのか」は気になるところだと思います。

この記事では、業務用エアコンの施工を15年手がけてきた立場から、取り付けに使う主な工具・道具を紹介します。単なるリストではなく、実際に現場で使っている実感——「これは電動が便利」「これは大きめが必要」「道具はメンテナンスが命」といった、施工者ならではの視点でお伝えします。これから道具を揃える方の参考になれば幸いです。

なお、この記事はプロとしてエアコン工事に携わる方・目指す方に向けた内容です。エアコンの取り付けには電気工事や冷媒の扱いなど資格が必要な作業が含まれるため、DIYでの取り付けは推奨していません。

配管加工に使う工具

エアコン工事の心臓部とも言えるのが、冷媒配管の加工です。ここの精度が仕上がりを左右します。

フレアツール

銅管の先端をラッパ状に広げる「フレア加工」をするための工具です。フレア加工は、配管の接続部の気密性を決める重要な作業で、加工が甘いとガス漏れの原因になります。手動のものもありますが、私は電動のフレアツールを使っています。使いやすく、加工も安定するので、おすすめです。数をこなす業務用の現場では、電動の作業性の良さが活きます。

銅管カッター(パイプカッター)・リーマー

銅管を切断するパイプカッターと、切断面のバリ(ささくれ)を取り除くリーマーです。切断面が汚いと、切粉が配管内に残ってトラブルの原因になるので、専用工具できれいに処理します。基本の必需品です。

トルクレンチ

フレアナットを規定のトルク(締め付けの強さ)で締めるための工具です。締め付けが弱いとガス漏れ、強すぎると破損の原因になるため、適正なトルクで締めることが大切です。

正直にお伝えすると、私自身は長年の経験から、トルクレンチを使わずモンキーレンチで感覚的に締めることが多いです。ただ、これはあくまで経験を積んだ上での話です。締め付けの感覚が身につくまでは、トルクレンチを使って規定通りに締めるのが確実で安全です。フレアの締め付けはガス漏れに直結する重要な部分なので、特に経験の浅いうちは、道具に頼って確実に仕上げることをおすすめします。

ズームロック等の火無し継手(あると便利)

冷媒配管の接続は、従来「ロウ付け」という火を使った溶接が基本ですが、火気の使用が禁止されている現場もあります。そうした現場で活躍するのが、「ズームロック」に代表される火無し継手です。火を使わず、専用工具で継手をカシメて接続するもので、火気厳禁の現場でも配管接続ができます。

これは本当に便利な道具ですが、工具も継手も結構高価です。ロウ付けの技術・設備がなくても接続でき、火を使わない安全性もあるので、対応できる現場を広げたい場合の選択肢になります。使う頻度や現場の種類を考えて、導入を判断するとよいでしょう。

私も実際に、火気厳禁の現場でズームロックを使ったことがあります。工場の現場で、火を使うことが認められていなかったケースです。また、火気そのものが禁止でなくても、近くに燃えやすいものがあったり、火災報知器が設置されていたりして、火を使った溶接がしにくいという状況はよくあります。そうした場面で、火無し継手は本当に助かります。ロウ付けだと養生や消火の準備、報知器への配慮などに気を遣いますが、火を使わなければその心配がありません。対応できる現場の幅が広がるという意味で、持っていると心強い道具です。

真空引き・ガスまわりの機器

真空ポンプ

配管内の空気や水分を抜く「真空引き」に使う、必須の機器です。真空引きを怠ると、配管内の水分が原因で冷えが悪くなったり故障したりするので、省いてはいけない工程です。

ポイントは、大きな馬力の業務用エアコンには、それに見合った大きめの真空ポンプが必要だということです。家庭用の小さなポンプでは、業務用の長く太い配管を十分に真空引きするのに力不足になります。扱う機種の規模に合わせて、適切な能力のポンプを選ぶ必要があります。

なお、真空ポンプは、オイルを入れて動かす機器です。このオイルの管理を含めた日頃のメンテナンスが、ポンプの寿命と性能を保つうえで欠かせません(詳しくは後述します)。

ゲージマニホールド

冷媒の圧力を測ったり、真空引きやガスチャージの作業をしたりするための、圧力計とバルブが一体になった機器です。配管内の状態を把握する、いわば施工の「計器」です。これは必須の道具で、私も日常的に使っています。真空引きやガスの管理には欠かせません。

基本の電動工具・その他

電動ドリル・インパクトドライバー

壁への穴あけ、据付板やビスの固定など、あらゆる場面で使う基本の電動工具です。当然、必需品です。特に業務用は据付作業が多いので、パワーのある使いやすいものを選びたいところです。

その他の必需品

この他にも、水平器(室内機を水平に据え付けるため)、各種レンチ・ドライバー、腰道具一式、そして13記事目でも触れたドレンホースクリーナー(ドレンの詰まりを吸い出す道具)など、細かい道具を挙げればきりがありません。仕事をしながら、必要に応じて少しずつ揃えていくことになります。

道具選びで大切にしていること

ここからは、私が道具を選ぶうえで大切にしている考え方をお伝えします。工具のスペックや価格の情報はカタログを見れば分かりますが、15年使ってきて感じることを正直に書きます。

選ぶ基準は「かっこよさ」と「使い勝手」

意外に思われるかもしれませんが、私が道具を選ぶ基準は、かっこよさと使い勝手の良さです。毎日使う相棒なので、自分が気に入っていて、手に馴染むものを選ぶのが一番だと思っています。工具は各メーカーから様々なものが出ていますが、スペックだけで選ぶより、実際に触って「これが自分に合う」と思えるものを見つけるのが、長く使ううえで大事です。人によって手の大きさも作業のクセも違うので、正解は一つではありません。

何より「買った後のメンテナンス」が重要

そして、これが一番お伝えしたいことです。道具は、どれを買うか以上に、買った後のメンテナンスが本当に重要です。どんなに良い道具を買っても、メンテナンスを怠れば、あっという間に壊れてしまいます。逆に、こまめに手入れをすれば、長く良い状態で使い続けられます。

真空ポンプならオイルの管理、フレアツールや可動部の清掃・注油、電動工具のバッテリー管理など、道具ごとに手入れが必要です。高い道具を次々買い替えるより、良い道具を一つ、大切にメンテナンスしながら使い込むほうが、結果的にコストも抑えられ、仕事の質も安定します。道具を大事にすることは、仕事を大事にすることでもあると、私は思っています。

具体的に、私が日頃メンテナンスで気をつけている道具をいくつか挙げます。

まずゲージマニホールド。これは意外と壊れやすい道具で、使い方に気をつけないと、すぐにダメになってしまいます。付属のホースも、使っているうちに中のゴム(パッキン)が劣化してなくなってしまうことがあり、そうなると正しく計測・作業ができません。日頃から状態を気にかけ、消耗した部品は交換することが大切です。

次に真空ポンプ。これはオイルを入れて動かす機器なので、オイルの補充・交換といったメンテナンスが欠かせません。オイル管理を怠ると、真空引きの能力が落ちたり、ポンプ自体が傷んだりします。

そしてフレアツール。これは錆びに注意が必要です。手入れを怠って錆が出ると、その錆のせいでフレア加工したときにフレア面に傷ができてしまうことがあります。フレアの傷は、そのままガス漏れの原因になります。つまり、道具のメンテナンスを怠ることが、そのまま施工不良に直結してしまうのです。だからこそ、道具の手入れは、単なる「道具を長持ちさせる」以上の意味があります。良い仕事をするために、道具を良い状態に保つ——これは、施工の品質を守ることそのものなのです。

まとめ

エアコン取り付けに使う主な工具・道具を紹介しました。

  • 配管加工:フレアツール(電動が便利)、パイプカッター、リーマー、トルクレンチ
  • 火無し継手(ズームロック等)は、火気厳禁の現場で便利だが高価
  • 真空引き・ガス:真空ポンプ(業務用には大きめが必要)、ゲージマニホールド
  • 電動工具:ドリル、インパクトなど
  • 選ぶ基準は、自分に合う使い勝手。そして買った後のメンテナンスが何より重要

道具を揃えるのは、独立や開業を考える方にとって初期費用の大きな部分になりますが、良い道具を大切に使えば、長く仕事を支えてくれます。これから揃える方は、自分に合った相棒を見つけて、大事に手入れしながら使っていってください。

これから独立や開業を目指す方は、あわせてエアコン取り付けに必要な資格と、エアコン・空調設備で独立するにはの記事もご覧ください。資格・独立・道具の3点を押さえておくと、開業への準備が整います。


【運営者からのお知らせ】
道具と同じように、施工の「段取り」を効率化するツールも作っています。業務用エアコン・換気施工の拾い出しツール「Hiroi」です。図面から配管・ダクトの拾い表を自動で作れます。現役の施工者が開発しました。

タイトルとURLをコピーしました