業務用エアコンの工事というと、多くの方は「機械を取り付ける作業」を想像すると思います。しかし実際には、その前に大きな課題があります。それは「重い機械を、どうやって設置場所まで運ぶか」ということです。
この記事では、業務用エアコンの施工を15年手がけてきた立場から、搬入の実際をお伝えします。室外機はどれくらい重いのか、クレーンを使うのはどんなときか、手で運べる限界はどこか、そして養生や近隣への配慮まで。施主の方が普段目にすることのない、工事当日の裏側をご紹介します。
業務用エアコンの室外機は、想像以上に重い
まず、重さの話から。業務用エアコンの室外機は、家庭用とは比べものにならないほど重量があります。
目安として、2ファンの横吹きタイプの室外機で、120〜130kg程度。馬力が大きくなれば、さらに重くなります。人が2人がかりで持ち上げても、簡単に動かせる重さではありません。
そして、私の実感として、人力で運べるのは、このくらいの重さまでです。それ以上になると、専門の業者——重量物の運搬を専門にする方々の手を借りることになります。
実感としてお伝えすると、2ファンの横吹きタイプの室外機で、だいたい120〜130kgくらいです。馬力によって重さは変わりますが、人力で運べるのは、正直このくらいの重さまでだと思います。それ以上になると、無理に人手で運ぼうとするのは危険ですし、現実的でもありません。鳶職の方や、重量物を専門に扱う業者に頼むことになります。
搬入方法は、現場の条件で決まる
手搬入(人力)
可能であれば、人力で運びます。理由はシンプルで、クレーンを使うより費用が抑えられるからです。搬入経路が確保でき、無理のない範囲であれば、手搬入を選びます。
ただし、限界もあります。例えば、階段を5スパン(5階分)上がって、130kgの室外機を運ぶ——これは、現実的に非常にきつい作業です。安全面でも問題があります。こういう現場では、迷わずクレーンを使います。
クレーン・レッカーを使った搬入
屋上への設置や、手搬入が難しい現場では、クレーンを使って吊り上げます。ビルの前にクレーン車を止め、アームを伸ばして、室外機を屋上まで運びます。
ただ、クレーンを使うには、いくつもの手続きと制約があります。
搬入方法を選ぶとき、まず考えるのは費用のことです。手搬入で対応できそうな現場なら、クレーンを使わず手で運びます。そのほうが費用を抑えられるからです。ただ、限界はあります。たとえば、階段を5スパン上がって130kgの室外機を運ぶ——これは、さすがにきついです。安全面でも無理があります。こういう現場では、迷わずクレーンを選びます。無理をして事故を起こしては元も子もありません。
クレーン搬入には「許可」と「時間の制約」がある
道路使用許可
道路にクレーン車を止めて作業する場合、警察に「道路使用許可」を申請する必要があります。この許可、取得までに日数がかかります。私は、お客様には「2週間くらいかかります」とご案内するようにしています(実際にはもう少し早く下りることもありますが、余裕を見た日数です)。
つまり、「明日クレーンで搬入したい」と思っても、すぐにはできません。工事の日程を組む段階から、この許可の期間を織り込んでおく必要があります。
交通整理の費用
クレーン車が道をふさぐ場合、交通整理の人員(ガードマン)を配置しなければなりません。当然、その分の費用がかかります。正直、費用は結構高くなってしまうのですが、安全のために必要なことなので、これは仕方のない部分です。
時間帯の制約
意外に思われるかもしれませんが、作業できる時間帯が限られることもあります。例えば、ある現場では、朝の時間帯は路線バスが通るため、クレーン作業ができませんでした。道路の状況、周辺の交通、近隣への影響を考えると、作業できる時間は自ずと決まってきます。
クレーンを使うと決まれば、道路使用許可の申請が必要です。警察に申請するのですが、実際にはもう少し早く下りることもあるものの、お客様には「2週間くらいかかります」とご案内するようにしています。余裕を見た日数です。
また、クレーン車が道をふさぐ場合は、交通整理の人員を配置しなければなりません。その分、費用は結構高くなってしまいますが、安全のために必要なことなので、これは仕方がありません。
そして、時間帯の制約もあります。ある現場では、朝の時間帯に路線バスが通るため、その時間はクレーン作業ができませんでした。周辺の交通状況によって、作業できる時間が限られることも、珍しくないのです。
クレーンも使えない現場では
クレーンを使えない現場もあります。道が狭くてクレーン車が入れない、建物同士が近すぎる、といったケースです。
こうした場合、鳶(とび)職の方に現場調査をしてもらい、搬出入を依頼することがあります。鳶さんは、高所や困難な場所での作業を専門とする職人です。重量物を、人の技術と道具で、安全に運び上げてくれます。
それでも難しいような、本当に困難な現場もあります。そういう場合は、また別の方法を検討することになります。いずれにせよ、「どうやって運ぶか」は、工事の成否を分ける重要な検討事項なのです。
道が狭くてクレーン車が入れないような現場では、鳶職の方に現場調査をしてもらい、搬出入を依頼することがあります。鳶さんは、こうした困難な場所での重量物の扱いを専門とする職人です。私たちでは手に負えない現場でも、経験と技術で運び上げてくれます。
養生——建物と備品を守る
搬入と並んで大切なのが養生です。重い機械を運ぶ以上、建物や備品を傷つけないよう、通路や作業範囲を保護シートなどで覆います。
特に神経を使うのが、大理石やタイルの床です。こうした床は、物を落とすと割れてしまいます。一度割ってしまえば、補修は簡単ではありません。だから、そういう場所では、特に念入りに養生をします。
お客様の大切な建物、大切な備品を預かって作業させていただいている——その意識が、養生の丁寧さに表れると思っています。
養生で特に気をつけているのが、大理石やタイルの床です。こうした床は、うっかり物を落とすと、それだけで割れてしまいます。一度割ってしまえば、簡単には元に戻りません。だから、そういう床のある現場では、通路も作業範囲も、念入りに養生してから作業に入ります。お客様の建物をお預かりして作業させていただいている、という意識を忘れないようにしています。
だからこそ、現場調査が重要
ここまで読んでいただければ、なぜ現場調査がそれほど重要なのか、お分かりいただけると思います。
正直に申し上げると、現場調査をせずに「ただの入れ替えです」と聞いて現場に行ったら、実はクレーンが必要だった——こういう現場は、結構あります。搬入経路が確保できない、階段では運べない、道路使用許可が要る。現場を見なければ、分からないことばかりです。
もし当日になってクレーンが必要だと分かれば、道路使用許可に2週間かかりますから、工事は延期です。お客様にも、大変なご迷惑をおかけしてしまいます。
だから私は、現場に行くたびに「現場調査は本当に大事だ」と思うのです。機種選定や電源の確認だけでなく、「どうやって機械を運び込むか」を確認することも、現場調査の重要な役割なのです。
正直に申し上げると、現場調査をせずに「ただの入れ替えです」とだけ聞いて現場に向かい、行ってみたらクレーンが必要だった——こういう現場は、結構あります。搬入経路が確保できない、階段では上げられない、道路使用許可が要る。実際に現場を見なければ、こうしたことは分かりません。
もし工事当日にクレーンが必要だと判明すれば、道路使用許可に日数がかかりますから、工事は延期せざるを得ません。お客様にも大変なご迷惑をおかけしてしまいます。だから、現場に行くたびに「現場調査は本当に大事だ」と、毎回思うのです。機種や電源の確認だけでなく、「どうやって機械を運び込むか」を確認することも、現場調査の大切な役割です。
まとめ
業務用エアコンの搬入について、要点を整理します。
- 室外機は2ファン横吹きで120〜130kg程度。人力で運べるのはこのくらいまで
- 可能なら費用を抑えるため手搬入。ただし階段5スパンで130kgは現実的でない
- クレーン搬入には道路使用許可(2週間程度)、交通整理の費用、時間帯の制約がある
- クレーンが使えない現場では、鳶職の方に搬出入を依頼することも
- 大理石やタイルの床は、特に念入りに養生する
- 現場調査をしないと、当日「クレーンが必要」と判明することがある
業務用エアコンの工事は、「取り付ける」前に「運び込む」という大きな課題があります。そして、その方法は現場の条件によって、まったく変わります。だからこそ、事前の現場調査で、搬入経路まできちんと確認してくれる業者を選んでください。それが、工事当日のトラブルや、思わぬ延期を防ぐ、確実な方法です。
搬入経路まできちんと確認してくれるかどうかは、業者の姿勢が表れる部分です。まずは複数の業者に現地調査・見積もりを依頼して、搬入方法やクレーンの要否まで説明してくれるか、比較してみてください。事前に確認しておけば、工事当日の延期や追加費用を防げます。
最大8社から一括お見積り【業務用エアコン】室外機の設置場所の選び方は業務用エアコンの室外機の設置場所と注意点、工事当日の流れ全体は業務用エアコンの設置工事の流れと時間で解説しています。あわせてご覧ください。
クレーン作業に関わる資格については、エアコン取り付けに必要な資格とはでも触れています。
