私は今、業務用エアコンの施工者として15年働いています。しかし、この仕事に就く前は、システムエンジニアでした。まったく違う世界から、職人の世界に飛び込んだのです。
この記事では、なぜ転職したのか、未経験からどう始めたのか、そして前職の経験は活きるのかを、正直にお話しします。デスクワークから、体を使う仕事への転職を考えている方に、少しでも参考になればと思います。
なぜ転職したのか——ずっとPCの前にいる日々
システムエンジニアだった頃、私はずっとPCの前で作業していました。それが、正直に言って、退屈でした。
楽しいと感じることも、やりがいを感じることも、あまりありませんでした。もちろん、この仕事が好きで、力を発揮している人はたくさんいます。ただ、私には合わなかった。
だから、体を動かすような、まったく違う職種に転職しようと考えました。デスクの前ではなく、現場で、手を動かして働きたかったのです。
なぜエアコン業界だったのか
数ある職人の仕事の中で、なぜエアコンだったのか。理由は、正直に言えば単純です。
「エアコンは稼げる」と、どこかで聞いたからです。そして、当時住んでいた家から歩いて通える距離に空調屋があった。それが、この世界に入ったきっかけでした。
立派な志があったわけではありません。ただ、結果として、この仕事は自分に合っていました。
未経験からのスタート——ドリルは重かった
入社してからは、当然ですが、何も分かりません。最初は先輩の手元——つまり、先輩の作業を手伝いながら、道具の名前を覚えるところから始まりました。
今でも覚えているのは、初めて行った現場で、初めてドリルを触ったときのことです。持ってみて、思いました。
「重い」と。
それが、私の職人としての第一歩でした。工具の重さも、道具の名前も、何一つ知らないところから始まったのです。
この仕事の面白さ——知識がいる、発見がある
やってみて分かったのは、エアコンの仕事は、いろいろな知識が必要だということです。
冷媒の仕組み、電気の知識、建物の構造、法令、道具の使い方。覚えることは山ほどあります。そして、現場ごとに条件が違うので、新たな発見が絶えません。
だから、飽きなかった。PCの前で退屈していた私にとって、これは大きな変化でした。
システムエンジニアの経験は活きたのか
ここが、転職を考えている方が一番気になるところだと思います。正直にお答えします。
技術そのものは、あまり使わない
正直に言えば、システムエンジニアとしての技術そのものを、エアコンの現場で使うことは、ほとんどありません。仕事の内容がまったく違いますから。
ただ、活きたものはあります。技術ではなく、SEとしての性分、性格的なところです。知識欲があること。そして「なぜこうなるのか」を論理的に分析する癖があること。
エアコンの仕事は、覚えることがたくさんあります。ただ、丸暗記するのではなく、理屈を考える癖がついていたおかげで、すぐに覚えられた実感があります。実際、物覚えの良さを褒められることが、よくありました。前職で身についたのは「技術」ではなく「考え方」だった。それが、まったく違う仕事でも役に立ったのです。
転職して、よかったと思っている
結論から言えば、転職してよかったと思っています。
ひとつは、この仕事が人の手を必要とする仕事だということです。近年、AIの進化によって、デスクワークの仕事がこれからどうなっていくのか、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。その点、エアコンの取り付けは、実際に現場に行って、体を使って、手で作業をしなければ成り立ちません。この先も、人が必要とされる仕事だと感じています。
そしてもうひとつ。システムエンジニアとして身につけた技術は、決して無駄にはなりません。仕事では直接使わなくても、プライベートで活かす場面はいくらでもあります。前職の経験が消えてなくなるわけではないのです。
迷っている方へ
もし今、転職を迷っているなら——私からお伝えできるのは、こういうことです。
迷っているということは、今の仕事に、少なからず不満があるということではないでしょうか。私もそうでした。ずっとPCの前にいることが、退屈で仕方なかった。
それなら、思い切って転職してみるのも、ひとつの道だと思います。私は、道具の名前も知らず、ドリルの重さに驚くところから始めました。それでも、15年続けてきて、今この仕事を選んでよかったと思っています。
もちろん、体を使う仕事なので、大変なこともあります。朝は早いし、夏は暑い。ただ、毎日が違って、退屈しない。1日の終わりがはっきりしている。そういう働き方が合う人には、きっといい仕事です。
もし本気で考えるなら、第二種電気工事士の資格取得から始めるのがおすすめです。私も入社してから取りました。エアコン工事では電気工事がほぼ必ず発生するので、実質的に必須の資格です。未経験でも受験でき、働きながら取る人も多い資格です。
合格率が飛躍的にアップする電気工事士技能試験セット実際の1日の流れはエアコン工事業者の1日、必要な資格はエアコン取り付けに必要な資格とは、使う工具はエアコン取り付けに使う工具・道具一覧で解説しています。将来的な独立についてはエアコン・空調設備で独立するにはもご覧ください。
まとめ
- SE時代、PCの前にいる日々が退屈で、体を動かす仕事に転職した
- 「エアコンは稼げる」と聞き、歩いて通える空調屋に入った
- 最初は先輩の手元。道具の名前を覚えるところから。ドリルは重かった
- SEの技術は使わないが、知識欲と論理的に考える癖が活きた
- 人の手が必要な仕事であること、前職の技術も無駄にならないこと
- 迷っているなら、それは今の仕事に不満があるということ
未経験からでも、道具の名前を知らなくても、始めることはできます。私がそうでした。もし、体を動かす仕事に興味があるなら、一歩踏み出してみてください。
【運営者からのお知らせ】
システムエンジニアの経験を活かして、業務用エアコン・換気施工の拾い出しツール「Hiroi」を開発しました。施工の現場を知る立場から、拾い出しの手間を減らすために作ったツールです。図面から配管・ダクト長を自動計算し、拾い表を出力できます。
