このサイトでは、繰り返し「現場調査が大切です」とお伝えしてきました。機種選び、電源、搬入、入れ替え——どの記事でも、結論は「現地を見なければ分からない」でした。
では、その現場調査で、施工者は実際に何を見ているのでしょうか。
この記事では、業務用エアコンの施工を15年手がけ、現場調査も自分で行っている立場から、現調で確認している項目を、順を追ってすべてお伝えします。1時間から1時間半ほどの調査で、何をどう見ているのか。そして、なぜそれが欠かせないのか。読んでいただければ、現場調査というものの意味が、はっきり見えてくると思います。
まず、お客様の要望を聞く
現場調査に決まった順番はありませんが、私が一番先にするのは、お客様の要望を聞くことです。
どんな空調にしたいのか。今、何に困っているのか。いつ頃工事をしてほしいのか。その他、不明な点や不安に思っていることはないか。
技術的な確認は、その後です。まずお客様の話を聞かなければ、何を目指して調査すればよいのか分かりません。「効きが悪い」という一言から、原因の見当がつくこともあります。お客様の困りごとが、調査の出発点なのです。
部屋を測る——面積と天井高
基本中の基本ですが、部屋の面積をメジャーで測ります。これが、必要な能力(馬力)を決める前提になります。
同時に、天井高も測ります。天井が高ければ、その分だけ空間の体積が増え、必要な能力も変わってきます。工場のような天井の高い現場では、特に重要です。
そして、この測定と同時に、室内機をどこに設置するかも確認していきます。部屋の形、人がいる場所、風の当たり方。実際に立って見なければ分からないことばかりです。
天井裏を確認する
ここが、現場調査で最も重要な部分のひとつです。
天井埋込形の室内機を設置するなら、天井裏のスペース(懐)が足りるかを確認しなければなりません。この懐の深さは、馬力や機種によって必要な寸法が変わります。
そして正直にお伝えすると、天井裏の状況が確認できない現場では、「確定でこの機械が付きます」とは言えません。実際に天井裏を覗いて、スペースがあることを確かめなければ、断言できないのです。
これは、いい加減なことを言っているのではありません。逆です。確認できていないことを「大丈夫です」とは言えない、ということです。
もし確認せずに工事を始めて、古い機械を撤去した後で「懐が足りない」と分かったら、もう後戻りできません。だからこそ、天井裏は、可能な限り実際に見ます。
正直にお伝えすると、天井裏の状況が確認できない現場では、「確定でこの機械が付きます」とは言い切れません。実際に天井裏を覗いて、スペースがあることを自分の目で確かめて、初めて断言できます。確認できていないことを「大丈夫です」と言うわけにはいかないのです。もし確認せずに工事を始めて、古い機械を撤去した後で懐が足りないと分かれば、もう後戻りできません。だからこそ、天井裏は可能な限り実際に見るようにしています。
室外機の置き場所を見る
室外機をどこに置くか。これも現地で確認します。
- 設置スペースが確保できるか
- 水平に据えられるか
- 周囲に点検・整備のためのスペース(サービススペース)を残せるか
- 吹き出しの風が、人や隣家に直撃しないか
- 室内機との距離、高低差は、配管の制限内に収まるか
室内機と室外機は、セットで考えなければなりません。片方だけ見ても、決まらないのです。
電源を確認する
電源は、機種を決める前提条件です。
- 単相か、三相(動力)か
- 電圧は100Vか、200Vか
- ブレーカーの容量は足りるか
- 電源線の太さ・長さは適切か
- 三相が必要なら、動力の契約はあるか
ここを確認せずに機種を決めると、後から電気工事が必要になったり、最悪の場合、契約から見直すことになったりします。
既存の設備を確認する(入れ替えの場合)
入れ替え工事なら、今ある設備の状態も見ます。
- 既存の冷媒配管は再利用できるか、それとも引き直しか
- ドレン管の勾配や状態はどうか
- パネルの寸法は、新しい機種と合うか(天井の補修が必要か)
- 既存機の年式、部品供給の状況
「入れ替えるだけ」に見えても、既存設備の状態次第で、工事の内容は大きく変わります。
搬入経路を確認する
意外に見落とされがちですが、機械をどうやって運び込むかも、現場調査の重要な項目です。
- 手で運べるか、クレーンが必要か
- 階段は何階分あるか、通路の幅は足りるか
- クレーンを使うなら、道路使用許可が必要か
- 養生が必要な床材はあるか(大理石、タイルなど)
ここを確認せずに工事当日を迎えて、「クレーンが必要だった」となれば、道路使用許可の申請で日数がかかり、工事は延期です。
結露のリスクを見る
天井裏が高温多湿になりそうな環境かどうかも、見ておきます。結露のリスクが高ければ、高湿度対応キットなどの対策を、あらかじめ計画に入れます。
これも、天井裏を実際に見なければ判断できません。
写真を撮る
現場調査では、必ず写真を撮ります。特に、室内機の設置場所と、室外機の設置場所は、絶対に撮ります。
写真は、後で機種を検討するときにも、見積もりを作るときにも、そして工事の段取りを組むときにも使います。記憶だけに頼らず、記録として残しておくのです。
現調をした人と、工事をする人
最後に、施工者として実感していることをお伝えします。
現場調査をした人と、実際に工事をする人が別だと、情報を伝えるのが難しいのです。
現場を見た人間の頭の中には、寸法や写真に写らない情報がたくさんあります。天井裏の様子、通路の狭さ、お客様が何を気にしていたか。これを、工事に入る人にきちんと伝えなければ、現場で困ることになります。
だから、写真を見せながら説明したり、細かい情報を共有したりする手間が必要になります。私は現調も施工も自分で行うことが多いので、この点は比較的スムーズですが、分業している場合は、情報の伝達が抜けないよう、丁寧なやりとりが欠かせません。
施主の立場から見れば、「現場調査に来た人と、工事に来る人は同じですか」と聞いてみるのも、業者を知る一つの方法かもしれません。
現場調査にかかる時間
ここまで見てきた項目を、すべて確認していきます。かかる時間は、現場によりますが、だいたい1時間から1時間半ほどです。
逆に言えば、この時間をかけずに「見積もりが出せます」という場合は、何を根拠にしているのか、確認してみたほうがよいかもしれません。
まとめ
業務用エアコンの現場調査で確認していることを整理します。
- まずお客様の要望を聞く。困りごと、工事時期、不安な点
- 部屋の面積と天井高を測る。室内機の設置場所も同時に確認
- 天井裏を見る。懐が足りるか、結露のリスクはあるか
- 室外機の置き場所——スペース、水平、風向き、配管の制限
- 電源——単相か三相か、電圧、ブレーカー容量、電源線
- 既存設備——配管・ドレンの再利用可否、パネル寸法、部品供給
- 搬入経路——手搬入かクレーンか、道路使用許可、養生
- 写真を撮る。特に室内機・室外機の設置場所
- 所要時間は1時間から1時間半ほど
現場調査は、機械を売るための手続きではありません。この現場に、何がどう設置できるのかを確かめる作業です。そして、確認できないことは「大丈夫です」とは言えない。だからこそ、実際に見に行くのです。
業者を選ぶときは、現場調査にどれだけ時間をかけ、どこまで見て、どう説明してくれるかを見てください。丁寧に調査する業者は、工事も丁寧です。それが、失敗しない導入への、一番確実な道だと思います。
現場調査にどれだけ丁寧に向き合ってくれるかは、業者選びの決め手になります。まずは複数の業者に現地調査・見積もりを依頼して、どこまで見て、どう説明してくれるかを比較してみてください。調査が丁寧な業者は、工事も丁寧なことが多いものです。
最大8社から一括お見積り【業務用エアコン】現場調査で確認する各項目は、それぞれ詳しく解説しています。電源については業務用エアコンの電源(単相・三相)の違い、入れ替え時の注意は業務用エアコンの入れ替え工事の流れと注意点、搬入については業務用エアコンの搬入はどう行う?で解説しています。機種の選び方は業務用エアコンの選び方|業種別の馬力の目安をご覧ください。
